USPTOのオフィスアクションをDocx形式でダウンロード可能であることをTwitterで書いたら意外と反響が大きくて驚きました。Private PAIR(要登録)では結構以前(公式アナウンスによると2017年9月)から対応しており、米国の代理人の間では認知されていたのですが、Private PAIRを使わない日本の方には馴染みが薄いようでした。

Twitterでは時間が経つと記事が探しにくくなるので、日本ではあまり知られていなさそうなその他の実務情報をこちらにまとめておきます。

Patent Centerhttps://patentcenter.uspto.gov

USPTO公式の包袋検索・閲覧サイトです。位置づけとしてはPublic PAIRの後継となります。Public PAIRの中身がレガシー化しているので、UIも含めて一新したものです。まだベータテスト中なので若干の不具合もありますが、Public PAIRの代わりには十分になります。実はEFS-Web(出願サイト)の機能も統合しており、不具合は主にそちら側に出ています。
Patent Centerの最大の利点は、オフィスアクションをDocx形式でダウンロードできることです。これまでは、オフィスアクションの内容を転記しようとすると、手打ちするか、OCRでテキスト化する必要がありましたが、ここからDocx形式のものを入手すれば、簡単にコピーしたり、機械翻訳にかけたりすることができます。
現在はオフィスアクションのみですが、2022年からは原則として出願時明細書をDocx形式で提出することになり(従来のPDF形式で提出するには追加手数料が必要)、その後は応答書もDocx形式となりそうなので、そうした書類もDocxでダウンロードできるようになるかもしれないです。
また、Patent CenterのURLはパーマリンクで、かつ、出願番号そのものを使っております。例えば、出願番号が12/345,678の情報は、https://patentcenter.uspto.gov/#!/applications/12345678 です。いちいち検索窓に番号を入れなくてもよいので地味に役に立ちます。
余談ですが、Patent Centerの構想自体は結構前からあったみたいですが、予算等の関係で停滞していたようです。Iancu前長官がUSPTOのソフトウエア全体のレガシー化を危惧して予算を付けたことで大きく前進したらしく、Iancuさんの功績の一つと言えます。

Google Patents(Simple search https://patents.google.com/、Advanced search https://patents.google.com/advanced

こちらはご存知の方も多いと思いますが、世界中の特許文献が検索可能です。出願・公開番号を知っていればSimpleで十分で、絞り込みをしたければAdvancedを使います。
特徴の1つは、公報をPDFでダウンロードでき、そのPDFには既にOCR済のテキストが埋め込まれていることです。USPTOの公式PDF公報は画像形式のためテキスト検索やテキストコピーができないので、むしろGoogle Patentsから公報を取ることが多くなりました。
また、引用・非引用文献と関連する(とGoogleのAIが判断した)文献情報が載っているのも便利です。
同様の公報検索サイトとしては、
Esp@cenet(https://worldwide.espacenet.com/
Patent Scope(https://patentscope.wipo.int/
The Lens(https://www.lens.org/
も便利です。

Patent Examination Data Systemhttps://ped.uspto.gov/peds/

USPTO公式のサイトです(通称PEDS)。Patent Centerでは、出願番号・公開番号・特許番号のいずれかを知っておく必要がありますが、こちらではその他の情報から検索することができます。Google PatentsのAdvanced searchで各種の絞り込みができますが、PEDSでは審査官やArt Unitでの検索・絞り込みができる点が大きな特徴です。特定の審査官の最近の審査傾向を調べたいというような場合に便利です。

審査官統計情報

担当審査官の特許査定率を知りたい、という場面はちょくちょくあると思います。弊所ではPatentAdvisorを使っておりますが、日本の出願人や特許事務所ではそこまでの頻度で審査官の統計情報(査定率)が必要になることはなく、有料サービスへの加入は躊躇われると思います。査定率だけであれば、下記のサイトにて無料で調べることができます。
Big Patent Data (https://bigpatentdata.com/
Patent Bots(https://www.patentbots.com/
Patentprufer(https://www.patentprufer.com/
Unified Patents(https://portal.unifiedpatents.com/prosecution/
Smartpat(http://www.smartpat.us/examinerreport/
このうち、Patent Botsでは、審査官の職位(Grade)とキャリア(審査年数)が分かるので、インタビュー前にちょくちょく見ています。

オフィスアクション全文テキスト検索

応答書作成の際に、類似の案件でどのような反論がされているのかを参考にしたい場合があります。弊所ではこの用途にもPatentAdvisorを使っておりますが、無料で同じようなことをしたいのであれば、下記のサイトを使って検索が可能です。
Pa10t.com(https://www.pa10t.com/
有料サイトとは異なり、検索結果のオフィスアクションや応答書はPatent Centerで確認することになります(リンクは検索結果に入っています)。

PTAB Decision Searchhttps://developer.uspto.gov/ptab-web/

PTAB(審判部)から出された審決(decision)の検索・閲覧ができるUSPTO公式サイトです。応答書に近時の判決(地裁、CAFC)を引用して反論することがありますが、実は審査官はそこのところはあまり見ていないです。USPTOが審査官研修用に発行している資料にはっきりと書いてあります(ここのスライドの14ページ)。重要な判例はMPEPに反映されるので、MPEPだけ見ていればいいというのが基本方針のようです。一方、PTAB Decisionについては、USPTOがした判断ですので、それなりに気にするようです(審判をされれば、PTABが同じ判断を下すはずですし)。

Unified Patent Portal(https://portal.unifiedpatents.com/

不実施主体(NPE)による特許濫用を抑止することを目的とした組織として有名なUnified Patentが運営するページです。上記と同様のPTAB Decisionの検索や特許訴訟の検索、ローファームの出願件数等の幅広いデータが調べられます。

USPTO APIhttps://developer.uspto.gov/api-catalog

USPTOが公式に内部データにアクセスするためのAPIを複数公開しています。上記のPEDSやPa10t.comもこのAPIを使っているようです。プログラムの書ける方なら、このAPIを利用して、自分専用のアプリを作ることもできると思います。

他にも日本の皆さんに有用そうな情報があれば、随時追加していきます。