USPTOは、2022年1月6日付官報(Federal Register)において、Deferred Subject Matter Eligibility Response (DSMER) pilot programを2022年2月1日から施行することを発表しました。これは、昨年にThom Tillis上院議員及びTom Cotton上院議員から出されていた要望書(詳細はIP Watchdog参照)を受けた形で制定されたものです。概要はUSPTOのサイトに掲載されておりますが、概ね以下の通りとなります。

期間:2022年2月1日~2022年7月30日(運用中の負荷、フィードバック、効果により延長又は打ち切り)

対象:通常特許出願(non-provisional application)及び国内移行出願(national stage application)
* Non-provisional applicationからの優先権を主張するもの(=分割・継続出願)は除く。
**最初のオフィスアクションに特許適格性(Subject Matter Eligibility)に関する拒絶と特許適格性以外の拒絶の両方が含まれているものに限る。

通知:2月1日以降に発行されるオフィスアクション内に、パイロットプログラムへの参加の案内(invitation)に関するパラグラフが含まれる(実際の文面はUSPTOのサイトを参照)。

応答:パイロットプログラムへの参加を希望する場合には、所定のフォーム(PTO/SB/456)を所定の応答期間内に提出することが必要。これにより、特許適格性に関する拒絶への応答は不要(繰延)となるが、特許適格性以外の全ての拒絶理由への応答は必要。

効果:出願の最終処分(final disposition)が出されるまで、または他の全ての拒絶理由が解消するまでは、特許適格性に関する拒絶への応答は免除される。

料金:USPTOのOfficial Feeは無し。

注意点:本パイロットプログラムへの審査官の参加は任意とされており、USPTOはできるだけ多くの審査官に参加を呼びかけているが、パイロットプログラムに不参加の審査官が担当した場合には、パイロットプログラムの利用はできない。
また、最終処分(final disposition)とは、許可通知(notice of allowance)の発行、ファイナルオフィスアクションの発行、審判請求書(notice of appeal)の提出、継続審査請求(RCE)の提出、出願の放棄(abandonment)であるため、ファイナルオフィスアクションへ応答する場合、審判を請求する場合、及びRCEを提出する場合には、もはや 特許適格性に関する拒絶への応答の繰延は認められず、これに対する応答を含める必要がある。
パイロットプログラムの利用は任意であり、利用しないことを選択した場合には、フォームの提出は不要であり、応答は通常通り全ての拒絶理由(特許適格性違反を含む)に対して行うこととなる。